もう飲まないはずの薬が、1年後また届いた。オンライン診療で見落とした「定期購入」
AGA治療のためオンライン診療を利用した40代男性は、1年分の治療薬を選び約7万円を支払った。途中で服用をやめたが、約1年後、新たな問診を受けた認識がないまま再び1年分が届いた。理由は「1年ごとの定期購入」という契約。サイト上に記載はあったが、本人には分かりにくいものだった。

何が起きたか
AGA(男性型脱毛症)の治療のため、40代男性がオンライン診療を利用しました。スマートフォンで診療を受け、1年分の治療薬をサイトの画面上で選択し、代金約7万円をクレジットカードで支払いました。
思うような効果が得られず、途中で服用をやめました。それ以上続けるつもりはありませんでした。
ところが約1年後、新たに医師の問診を受けた認識がないまま、再び1年分の治療薬が届きました。頼んだ覚えがなかったため返品を求めたところ、「1年ごとの定期購入に申し込んでいるので返品できない」という説明を受けました。サイトを見返すと、確かに定期購入に関する記載はありましたが、本人にとっては分かりにくいものでした。

判断の分かれ目
「今回、1年分を購入すること」と「1年ごとに自動で購入し続けること」を、契約時に分けて確認していたか。
「1年分」買うことと、「1年ごとに」買い続けることは、似た言葉に見えて将来の義務が異なります。前者はその場限りの購入ですが、後者は次の期限が来るたびに、あらためて申し込まなくても購入と支払いが続く契約です。この違いを、契約する時点で確認できたかどうかが、この事例の分かれ目です。
なぜ、「定期購入を見落とした」で終わらせると足りないのか
この事例を、
「契約条件をよく読まなかっただけ」
だけで終わらせると、次の判断には活かしにくくなります。
通常のネット通販であれば、「1回限りの購入か、自動的に続く契約か」「解約の期限はいつまでか」という点は、多くの人が意識して確認しようとします。しかし、オンライン診療というサービスでは、医師の診察・処方という医療行為と、薬の購入・定期購入という契約が、ひとつの続いた体験として提供されます。利用者にとっては、診療を受けて薬を受け取るまでが一つの流れに感じられやすく、その中に別の契約(定期購入)が組み込まれていることを、意識して切り分けにくくなります。
また、「もう飲んでいない」ことと、「定期購入の契約が終わっている」ことは、別の状態です。服用をやめても、契約を解約する手続きを取らない限り、次の発送と決済は続きます。この事例でも、服用の中止と契約の終了が、本人の中で同じことのように扱われていました。
オンライン診療そのものを否定する必要はありません。重要なのは、医療行為への同意(この治療を受けるかどうか)と、購入契約への同意(この条件で薬を買い続けるかどうか)を、一度分けて確認することです。
今後に活かすチェックポイント
- 今回だけの購入か、定期購入かを確認する
画面上のどこかに「定期」「〇年ごと」といった記載がないか、申し込み前に確認する。 - 次回の発送・決済のタイミングを確認する
1回の申し込みで終わるのか、次にいつ・いくら発送・決済されるのかを把握しておく。 - 不要になった場合、いつまでに何をすれば止められるかを確認する
解約・休止の条件や期限、手続き方法を、契約する時点で確認しておく。
専門家に判断を任せてよい部分(治療の内容や必要性)と、自分で確認すべき部分(契約条件)を分けて意識することが、次に同じ場面へ出会ったときに使える知識です。
出典・本事例について
本事例は、国民生活センターが2026年6月23日に公表した相談事例をもとに、失敗にまなぶ.com編集部が再構成しました。
参考資料:
- 国民生活センター「ニキビ、AGA治療や痩身目的等のオンライン診療のトラブルにご注意−処方薬の定期購入にかかるトラブルが目立ちます−」(2026年6月23日公表)
個別の医療行為や治療効果の適否については評価していません。
新しい失敗事例や、判断の分かれ目をXでも紹介しています。@shippaimanabu


